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本記事は投資情報の提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資には元本割れのリスクがあり、最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。掲載情報は執筆時点のものであり、税制・手数料は変更される可能性があります。

結論から

サカイ引越センター(東証プライム・銘柄コード9039・業種:陸運業)は、2026年5月25日時点で配当利回り 4.18%、過去10年平均(1.94%)の 約2.2倍 の水準にある銘柄である(出典:Yahoo!ファイナンス、2026年5月25日)。

1979年に大阪・堺で創業した引越業界の国内首位水準の会社で、20年以上連続で減配がない配当履歴、過去5年で1株配当が約4倍(25円前後→98円)に増えた還元姿勢、自己資本比率76.8%、営業CF 連続黒字(確認できる10年超)、ROE 8.72%(2026年3月期)といった、配当インカム狙いの観点で確認したい指標が複数同時にそろっている。

本記事では、1株配当金・売上高・営業利益率・EPS・配当性向・配当利回り・ROE という複数の指標の推移を6本のチャートで可視化し、この銘柄が高配当株テーマで注目される根拠と、同時に把握しておきたい懸念事項を中立に整理する。

なお、本記事は特定銘柄の購入を推奨するものではない。中立分析として判断材料を提示するに留まり、最終的な投資判断は最新の同社IR・有価証券報告書・適時開示を確認のうえ、ご自身の責任で行うこと。

本記事は2026年5月25日時点で Yahoo!ファイナンス等で公開されている情報および同社IR資料・適時開示の公開情報をもとに記載している。株価・配当利回り・各種指標は日々変動するため、最新値は必ず同社IRサイト・有価証券報告書・決算短信および各証券会社の公式ツールで確認してほしい。

銘柄概要

項目内容
銘柄名サカイ引越センター
銘柄コード9039
市場区分東証プライム
業種陸運業
時価総額約1,185億円(2026年5月25日時点、小型株区分)
配当利回り(予想)4.18%(2026年5月25日時点)
過去10年平均配当利回り1.94%
連続減配なし期間20年以上
予想PER12.9倍(過去10年平均 約13.8倍)
PBR1.14倍
自己資本比率76.8%
ROE(2026年3月期)8.72%
営業CF連続黒字(確認できる10年超)
創業1979年(大阪・堺)

(出典:Yahoo!ファイナンス公開チャート、2026年5月25日時点。最新値は同社IRおよび Yahoo!ファイナンス・各証券会社ツールで要確認)

何をしている会社か

サカイ引越センターは、1979年に大阪・堺で創業した引越サービス会社である。会社公表資料や各種報道によれば、引越業界で国内首位水準のシェア(約20%)を持つとされ、全国に200を超える支店ネットワークを構築している。テレビCMなどを通じた全国的に高いブランド認知度と信頼感が、同社の競争力の中核に位置づけられる。

事業構成は引越事業を軸としつつ、周辺サービスへ広がっている。

  1. 引越事業 — 個人向け・法人向けの引越サービス。収益の柱であり、売上の相当部分を法人案件が占めるとされる
  2. 電気工事・クリーンサービス — 引越に付随するエアコン設置・ハウスクリーニング等の付帯サービス
  3. リユース事業 — 引越に伴う不用品の買取・再販など

引越という単発のサービスに付帯サービスを束ねて単価を引き上げる戦略を採っている点が事業上の特徴である(最新の事業セグメント別売上高は、同社IRサイトの「決算説明資料」「有価証券報告書」で要確認)。なお同社は、生活インフラに近く相対的に底堅い需要を持つディフェンシブな側面と、新生活シーズンや景気・住宅市況に左右される景気敏感な側面の両方を併せ持つ。

高配当株として注目される6つの根拠(チャートで読む)

ここからが本記事の中心である。これは投資推奨ではなく、銘柄として観察対象に残したくなる構造を、チャートとデータで整理した分析である。

根拠1: 1株配当金は過去5年で約4倍 — 20年以上減配なし

まず最初に確認したいのが、配当そのものの推移である。サカイ引越センターの1株あたり配当金は、公開チャートによれば20年以上にわたり減配がなく、とくに直近5年では25円前後から98円(2026年3月期)へと約4倍に増配している。2027年3月期の会社予想は117円とされ、増配トレンドは継続している。

1株あたり配当金の推移(円)

2017〜2026年実績・2027年は会社予想。出典:Yahoo!ファイナンス公開チャート(2026年5月25日)を元に作図。値は読み取りに基づく概算。

120 80 40 0 25円 98円 117円 '17 '18 '19 '20 '21 '22 '23 '24 '25 '26 '27予
1株配当金(実績) 会社予想

リーマンショック(2008〜2009年)・コロナショック(2020年)といった景気後退局面を含む期間で配当を維持・増配してきた事実は、配当方針の安定性と積極性を示す情報の一つと読める。一方で、過去の連続維持・増配実績は将来を保証するものではない点は後段で改めて確認する。

根拠2: 売上高は10年で約1.7倍 — 事業の縮小局面ではない

配当の源泉は最終的に売上と利益である。売上が長期で縮小している銘柄では、過去の配当維持がいつ崩れてもおかしくない。サカイ引越センターの売上高はこの10年で約1.7倍へ拡大しており、事業の縮小局面にはない。直近決算(2026年3月期)では売上高・経常利益ともに過去最高を更新したとされる。

売上高の推移(億円)

2017〜2026年実績・2027年は会社予想。出典:Yahoo!ファイナンス公開チャート(2026年5月25日)を元に作図。値は読み取りに基づく概算。

1500 1000 500 0 '17 '18 '19 '20 '21 '22 '23 '24 '25 '26 '27予
売上高(実績) 会社予想

「引越件数そのものは人口減で頭打ち」という業界全体のネガティブな見方を聞くことが多いセクターだが、支店網の拡大・付帯サービス(電気工事・クリーン・リユース)の取り込み・単価の引き上げによって、トップラインを伸ばし続けてきたと読める。

根拠3: 営業利益率は継続的に10%超で安定

売上が伸びても、利益率がしぼんでいれば配当原資は確保できない。サカイ引越センターの営業利益率は、公開チャートによれば10年を通じて概ね10%超で安定している。労働集約的な引越業として見ると、これは相対的に高い利益率水準である。

営業利益率の推移(%)

2017〜2026年実績・2027年は会社予想。基準線は10%。出典:Yahoo!ファイナンス公開チャート(2026年5月25日)を元に作図。

15 10 5 0 10% 11.6 10.0 '17 '18 '19 '20 '21 '22 '23 '24 '25 '26 '27予

人件費・燃料費という変動コストを抱える業態でありながら、10年間で利益率の大崩れがなく10%前後を維持している点は、価格設定力と現場のオペレーション管理が機能していることを示すデータと読める。ただし近年は10%ぎりぎりまで緩やかに低下しており、コスト高の影響が利益率に効きはじめている可能性は後述の懸念事項で確認する。

根拠4: EPSは右肩上がり、配当性向は20%台から50%台へ

配当の安定性を測るうえで重要なのが「配当性向(配当金 ÷ EPS)」の水準である。サカイ引越センターのEPSは長期で増加傾向にあり、その伸びを上回るペースで増配を進めた結果、配当性向は20%前後から50%台(2027年3月期予想で約54%)へと引き上げられている

EPS(棒:円、左軸)と配当性向(線:%、右軸)

2017〜2026年実績・2027年は会社予想。出典:Yahoo!ファイナンス公開チャート(2026年5月25日)を元に作図。値は読み取りに基づく概算。

250 125 0 60% 30% 0% 45.9% 54.2% '17 '18 '19 '20 '21 '22 '23 '24 '25 '26 '27予
EPS(円・左軸) EPS会社予想 配当性向(%・右軸)

ここで注意したいのは、配当性向の上昇は「株主還元の強化」というポジティブな読み方ができる一方で、配当性向が高まるほど、業績下振れ時に減配となる感応度も上がるという両面性を持つ点である。配当性向20%台のころは利益が多少落ちても配当を維持しやすかったが、50%台まで来ると「EPSが下振れすれば配当維持の余地が以前より狭まる」関係になる。還元強化は歓迎材料であると同時に、業績の継続性をより丁寧に確認すべきフェーズに入ったとも読める。

根拠5: 配当利回りは過去10年平均(1.94%)の約2.2倍まで上昇

サカイ引越センターの過去10年平均配当利回りは1.94%である。直近の4.18%という水準は、自社の平均より大きく高い領域に来ている。これは「増配で配当金が増えた」効果と「株価がそれに見合うほど買われていない」効果の双方が混ざった結果と読める。

配当利回りの推移(%)と過去10年平均

2017〜2026年の年末ベース、末尾は2026年5月時点。基準線は過去10年平均 1.94%。出典:Yahoo!ファイナンス公開チャート(2026年5月25日)を元に作図。

5 4 3 2 1 0 過去10年平均 1.94% 3.89% 4.18% '17 '18 '19 '20 '21 '22 '23 '24 '25 '26 '26.5

ただし、利回りが平均より高いことそれ自体は「魅力的に見える根拠」ではあっても、「買うべき根拠」にはならない。サカイ引越センターの場合は、過去5年で配当金が約4倍に増えた一方で株価は2017年からほぼ横ばいで推移しているとされ、「増配が利回りを押し上げたが、株価が評価として追いついていない」構図が読み取れる(あくまで指標から推測できるシナリオの一つに過ぎない)。なぜ株価が評価されにくいのかは、後段の懸念事項(引越業界の構造的逆風・低成長との市場評価)と併せて読む必要がある。

根拠6: ROEは一般合格基準8%を継続的に上回る

配当を払い続けるためには、利益を生み出す効率(ROE)も継続的に確認したい指標である。サカイ引越センターのROEは、公開チャートによれば一般的な合格基準とされる8%を、10年を通じて概ね上回って推移しており、収益性は良好と読める。

ROE(自己資本利益率)の推移(%)

2017〜2026年実績・2027年は会社予想。基準線は一般的な合格水準とされる 8%。出典:Yahoo!ファイナンス公開チャート(2026年5月25日)を元に作図。

15 10 5 0 一般合格基準 8% 13.65 8.72 '17 '18 '19 '20 '21 '22 '23 '24 '25 '26 '27予

2017〜2020年は13%前後と高めだったが、近年は8〜9%台へとやや低下している。とはいえ合格水準とされる8%を割り込まずに推移している点は、自己資本比率76.8%という高い財務健全性と両立した収益性として評価できる。一方で、ROEの緩やかな低下は「自己資本が厚くなる一方で利益の伸びがそれに追いついていない」状態とも読めるため、トレンドの方向性は継続観察したい。

6つの根拠の要約

ここまでの指標が、独立した観点でおおむね同じ方向(安定・改善)を向いている点が、この銘柄が高配当株テーマで注目される構造的な理由である。

指標状態配当継続にとっての意味
1株配当金20年以上減配なし、5年で約4倍株主還元の積極姿勢
売上高10年で約1.7倍に拡大事業の縮小局面ではない
営業利益率継続的に10%前後を維持労働集約業として高い収益力
EPS・配当性向EPS増・性向20%台→54%へ還元強化(=減配感応度は上昇)
配当利回り平均1.94% → 直近 4.18%自社平均より大きく高い水準
ROE8%超を継続、自己資本比率76.8%健全な財務と両立した収益性

これらが同時にプラス方向を示している銘柄は、東証プライム全体でも限られる、というのが個別株を高配当テーマで観察するときの一つの視点になる。ただし「数字が良い=買い」ではない点を、次のチェックリストと懸念事項で確認する。

高配当株チェックリスト14項目で評価する

ここまでの分析を踏まえ、高配当株を観察するときに一般的に使われるチェック観点に照らして、サカイ引越センターがどの項目に当てはまり、どの項目に当てはまらないのかを視覚的に整理する。

凡例:✓ 該当(基準を満たす) / △ 要注意(継続観察が必要) / ✗ 該当せず(基準を満たさない)

高配当株チェックリスト × サカイ引越センター(9039)

一般的な高配当株評価で確認される14観点に対する、2026年5月25日時点の判定。判定は本記事独自の整理であり、投資推奨ではない。

  • 1. 配当利回りが市場平均(東証プライムの単純平均 約2%台)を上回る 4.18%

    自社の過去10年平均 1.94% も大きく上回る水準。市場平均の最新値は日本取引所グループの集計で要確認。

  • 2. 過去10年以上、減配がない 20年以上

    リーマンショック・コロナショックを含む期間で配当を維持・増配。一般的なチェックでは「5〜10年連続減配なし」を基準とすることが多く、それを大きく超える。

  • 3. 配当性向に余裕がある(目安 70% 以下) 45.9%

    2026年3月期実績ベース。70%以下に収まる一方、20%台から50%台へ上昇しており、業績下振れ時の減配感応度は以前より高まっている点に留意。2027年予想は約54%。

  • 4. 営業キャッシュフローが安定して黒字 連続黒字(10年超)

    配当の原資は最終的にキャッシュ。確認できる範囲で営業CFは連続黒字を継続。利益が会計上の数字だけでなく実キャッシュとして入っていることを示す。

  • 5. 自己資本比率が一定水準以上(目安 40% 以上) 76.8%

    約8割と非常に高い。借入依存度が低く、金利上昇局面でも財務負荷が増えにくい構造。財務の健全性は本銘柄の強みの一つ。

  • 6. EPS(1株純利益)が直近で横ばい〜成長 長期で増加傾向

    突出した急成長ではないが、突然大きく崩れることもなく安定的に増加してきた。配当原資の上限が緩やかに広がっている状態。

  • 7. 売上高が長期で減少していない 10年で約1.7倍

    事業規模が縮小局面にある銘柄は配当維持の持続性に疑問符。サカイ引越センターは支店網拡大・付帯サービスで長期に売上を伸ばしている。

  • 8. ROEが一般合格水準(目安 8% 以上) 8.72%

    8%超を継続。自己資本比率約8割の堅い財務と両立した収益性は良好。ただし数年前(13%前後)からは緩やかに低下しており、トレンドは継続観察。

  • 9. PERが市場平均(東証プライム概ね15倍前後)以下 12.9倍

    市場平均よりやや低めだが、自社の過去10年平均(約13.8倍)とはほぼ同水準で「平均的」。際立った割安とは言いにくい。

  • 10. PBRが過度に高くない(目安 1倍前後) 1.14倍

    1倍をやや上回る平均的な水準。解散価値を大きく超える割高でも、1倍割れの割安でもない中立的な評価。

  • 11. 事業の構造的な追い風 引越件数は減少傾向

    人口減少・高齢化・新設住宅着工の停滞により、国内の引越件数そのものは長期で減少傾向。同社は単価引き上げ・付帯サービス・シェア拡大で売上を伸ばしてきたが、市場縮小という構造的逆風は継続観察が必要。

  • 12. ガバナンス・労務コンプライアンスに重大な問題がない 過去事案あり

    過去に残業代未払いをめぐる訴訟が報じられた経緯がある。労働集約的な業態ゆえ労務管理は重要論点で、コンプライアンスの徹底状況は継続確認の対象。最新は同社の適時開示・有報「事業等のリスク」で要確認。

  • 13. 時価総額と流動性(目安 数千億円以上) 約1,185億円

    東証プライム内では小型株区分。長期保有なら問題になりにくいが、大口売買や短期売買では流動性リスクを考慮する必要がある。

  • 14. 人件費・燃料費コスト変動への直接的な耐性 労働・燃料集約

    引越業は人手と車両に依存する労働・燃料集約型。高齢化による業界全体の人手不足で人件費が高騰し、燃料費上昇も原価に直接効く。営業利益率が近年10%ぎりぎりまで緩やかに低下している背景でもあり、コスト構造そのものの耐性は強いとは言えない。

該当 8 項目 要注意 5 項目 該当せず 1 項目

本チェックリストは、公開情報をもとに「高配当株として観察する際に一般的に確認される観点」を機械的に当てはめた整理である。各項目の基準値は一般論であり、絶対的な合否基準ではない。該当数が多い=買うべき、少ない=避けるべき、という単純な投資判断はできない。とくに「要注意」「該当せず」と判定された項目は、実際に保有する場合には継続的にウォッチすべきリスク要因となる。最終的な投資判断は、最新の有価証券報告書・決算短信・適時開示を必ず確認のうえ、ご自身の責任で行うこと。

このチェックリストの結果を要約すると、配当・財務の安定性(項目1〜8)では合格水準を満たす一方、株価評価・事業の構造・労務/コスト耐性(項目9〜14)では継続観察が必要な項目が並ぶ、という構造になる。

つまり「財務と配当履歴は良いが、それを支える事業環境に構造的な逆風(市場縮小・人手不足・コスト高)がある」銘柄である。市場が同社を「地味で低成長」と評価し、株価が長く横ばいで推移してきたのは、まさにこの項目9〜14の論点が織り込まれた結果とも読める。「配当履歴と財務の良さだけを見て買い、構造リスクを見落とす」のが個別株の典型的な失敗パターンであるため、上記項目9〜14は、保有を検討する場合に必ず自分で最新情報を再確認したい観点となる。

同時に把握しておきたい懸念事項

楽観的な材料だけで判断するのは適切ではない。同社の元データ(Yahoo!ファイナンス)に明示されている懸念事項に加え、公開情報から読み取れる注意点を併せて整理する。

1. 引越市場そのものの縮小(人口減・高齢化・住宅着工の停滞)

引越需要は、人口動態・転勤・住宅取得といった要因に左右される。人口減少・少子高齢化・新設住宅着工の停滞により、国内の引越件数そのものは長期的に頭打ち〜減少傾向にあるとされる。テレワーク定着による転勤の減少など、需要構造の変化の兆しも指摘される。同社は単価引き上げ・付帯サービス・シェア拡大でこれを補ってきたが、母集団となる市場が縮む構造的逆風は中長期で注視ポイントとなる。

2. 人手不足と人件費の高騰

引越業は人手に大きく依存する労働集約型のビジネスである。業界全体で高齢化が進み、ドライバー・作業スタッフの確保が難しくなる「人手不足」が深刻化しているとされる。賃上げ・採用コストの増加は人件費の上昇圧力となり、近年の営業利益率の緩やかな低下にもつながっている可能性がある。

3. 燃料費などコストの上昇

車両を多数稼働させる事業特性上、燃料費の変動が原価に直接影響する。原油高・円安局面ではコストが押し上げられやすく、価格転嫁が追いつかなければ利益率が圧迫される。人件費とあわせて、コスト面の感応度が高い業態である点は念頭に置きたい。

4. 「地味で低成長」という市場評価と株価の長期横ばい

過去5年で配当が約4倍に増えた一方で、株価は2017年からほぼ横ばいで推移しているとされる。これは市場が同社を「安定はしているが大きくは伸びにくい(地味で低成長)」と評価している可能性を示す。PER・PBRがほぼ平均的な水準にとどまっていることも、この見方と整合する。高配当利回りは、増配と「株価が評価されにくいこと」の両方から生じている点に注意したい。

5. 労務コンプライアンス(過去の残業代未払い訴訟)

過去に残業代の未払いをめぐる訴訟が報じられた経緯がある。労働集約型の業態では労務管理が経営の重要論点であり、コンプライアンスの徹底状況・再発防止策の実効性は継続的な確認対象となる(具体的な経緯・対応状況は同社の適時開示情報・有価証券報告書の「事業等のリスク」「コーポレート・ガバナンスの状況」項目で要確認)。

6. 小型株特有の流動性リスク

時価総額約1,185億円は東証プライム上場銘柄の中では小型株区分に該当する。大型株と比べて1日の出来高が小さく、まとまった売買で株価が動きやすい傾向がある。短期での売買・大口での売買を想定する場合は、流動性リスクを別途確認する必要がある。

7. 配当性向の上昇による減配感応度

配当性向が20%台から50%台へ上がったことは還元強化として歓迎材料だが、裏を返せばEPSが下振れしたときに配当を維持する余地は以前より狭くなっている。今後、人件費・燃料費の上昇や引越件数の減少で利益が落ち込んだ場合、配当方針が見直される可能性はゼロではない。

私が確認したいと考えているチェックポイント

私自身がこの銘柄を観察対象として整理する場合に、確認しておきたいと考えているポイントを列挙する。これは投資推奨ではなく、私の個人的なチェックリストである。

  1. 同社IRの最新「決算短信」「決算説明資料」で、売上・営業利益率・EPS・営業CFの直近トレンドと、引越件数・客単価の動向を確認する
  2. 有価証券報告書の「事業等のリスク」で、引越需要の変動・人手不足・燃料費・労務コンプライアンスに関するリスク開示の内容を確認する
  3. 株主還元方針(中期経営計画・株主向け説明資料)で、配当性向の目標水準と増配方針の持続性を確認する
  4. セグメント別・事業別の構成で、引越本体と付帯サービス(電気工事・クリーン・リユース)、法人/個人の比率推移を確認する
  5. 適時開示で、労務・コンプライアンスに関する継続的な進捗開示を確認する
  6. 自分のポートフォリオ全体に占める個別株比率(個別銘柄1社あたりの上限)が、事前に決めた範囲に収まるかを確認する

これらは「銘柄が良いか悪いか」を判定するためのリストではなく、「自分が説明できる範囲で判断材料を揃えるためのチェックリスト」として整理している。

高配当株テーマで読むときに私が意識していること

最後に、高配当株を観察するときに私が意識している原則を3点だけ書いておく。

  1. 利回りの数字だけで判断しない — 配当利回りは「配当金 ÷ 株価」で算出されるため、株価が業績懸念で評価されず利回りが見かけ上高くなっているケースが含まれる。利回りの数字に飛びつく前に、なぜその水準なのかを必ず確認する
  2. 連続維持・増配の実績は将来を保証しない — 20年以上減配なしは事実として強い情報だが、未来の業績次第で方針は変わる。とくに配当性向が上がった局面では、事業環境・財務体質・原資の余裕度を毎年確認する習慣を持つ
  3. 個別株は分散の中の一部に留める — 個別銘柄1社の業績悪化・不祥事・市場退場リスクは常に存在する。長期積立のコアは全世界株式・先進国株式といった広く分散されたインデックスファンドに置き、個別株はサテライト枠として総資産の中で位置づけを明確にしておきたい(本サイトのインデックス積立に関する記事も参考にしてほしい)

特定の銘柄に集中するほど、その1社の動きが自分の資産全体に与える影響は大きくなる。高配当株テーマは魅力的に映りやすいが、「サテライト枠の範囲で観察する銘柄」として位置づけると、相場の急変に対しても運用継続が止まりにくくなる。

最終情報確認日と公式情報源

本記事の数値・指標は2026年5月25日(配当利回り基準日)時点で公開されている情報をもとに記載している。株価・配当・各種指標は日々変動するため、最新値は以下の一次情報で確認してほしい。

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よくある質問

サカイ引越センターはどのような会社ですか?
1979年に大阪・堺で創業した引越サービス会社です。会社公表資料や各種報道によれば、引越業界で国内首位水準のシェアを持つとされ、全国に200を超える支店ネットワークを構築しています。収益の柱は引越事業ですが、付随する電気工事・クリーンサービス・リユース事業なども手掛け、単価の引き上げに注力しているとされています。売上の相当部分を企業向け(法人)案件が占めるのも特徴です(最新のセグメント別売上構成は同社IRの決算説明資料で要確認)。
配当利回り4.18%という水準は高いのですか?
2026年5月25日時点の配当利回りは4.18%でした(出典:Yahoo!ファイナンス)。サカイ引越センターの過去10年平均配当利回りは1.94%とされており、自社の過去推移と比較すると直近の利回りは明確に高い水準にあります。これは「増配で配当金が増えた」効果と「株価がそれに見合うほど買われていない」効果が混ざった結果と読めます。ただし利回りの数字だけで投資判断はできず、配当性向・営業CF・財務体質・事業の継続性を併せて確認する必要があります。
「20年以上減配なし」「過去5年で配当が約4倍」というのはどう評価すればよいですか?
チャート(出典:Yahoo!ファイナンス)では、20年以上にわたり減配がなく、とくに直近5年で1株あたり配当金が25円前後から98円(2026年3月期)へと約4倍に増えたことが確認できます。複数の景気局面を通じて配当を維持・増配してきた事実は配当方針の積極性を示す情報の一つです。一方で、過去の連続維持・増配実績は将来の維持を保証するものではありません。引越需要の構造変化・人件費高騰・燃料費上昇などの影響次第では、将来の配当方針が見直される可能性は残ります。
PER 12.9倍・PBR 1.14倍という指標はどう見ればよいですか?
2026年5月25日時点の予想PERは12.9倍、PBRは1.14倍でした(出典:Yahoo!ファイナンス)。同社の過去10年平均PERは約13.8倍とされ、現在の水準はほぼ平均的な範囲にあると整理できます。一般論として東証プライム全体のPER平均は概ね15倍前後、PBR平均は1倍をやや上回る水準で推移してきました(最新値は日本取引所グループ公表のPER・PBR集計値で要確認)。サカイ引越センターの指標は市場平均とほぼ同程度で、際立って割安でも割高でもない「平均的」な評価と読めます。
この銘柄を保有すれば必ず安定した配当を受け取れますか?
いいえ、保証はありません。配当は会社の業績と取締役会の決議に基づいて支払われるもので、業績悪化・キャッシュフロー悪化・財務方針の変更により減配・無配となる可能性が常にあります。また、株式投資には元本割れのリスクが伴います。配当利回りが高い株は、事業環境が悪化して株価が下落した結果として利回りが押し上げられているケースもあるため、利回りの数字だけで投資判断はできません。最終的な投資判断は、必ず最新の有価証券報告書・決算短信・適時開示情報・目論見書を確認したうえで、ご自身の責任で行ってください。