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本記事は投資情報の提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資には元本割れのリスクがあり、最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。掲載情報は執筆時点のものであり、税制・手数料は変更される可能性があります。

まず5月の全体像を数字でつかむ

2026 年 5 月のマーケットは、4 月に続いて国内外の主要株式指数が一段と上昇し、日経平均株価・S&P 500 ともに最高値を更新する強い 1 か月でした。一方で、不動産(REIT)は金利上昇を背景に下落が続き、世界各国で長期金利が節目を超えるなど、株高の裏側で別方向の力も働いています。

私はいつも、月次の振り返りを「短期の値動きに反応するための情報」ではなく「長期の積立方針を淡々と続けるための点検」として読むようにしています。本記事もその視点で、5 月のデータを一枚に整理しました。なお、本文中の指数値・利回りは執筆時点で公表・観測されたおおよその水準で、投資判断の前には必ず一次情報で最新値をご確認ください。

国内の主要指数:5 月単月と年初来

国内の代表的な指数の値動きを、月次と年初来で並べます(指標値はいずれも 5 月 29 日時点のおおよその水準。J-REIT とグロース 250 は連動 ETF の値を用いており、指数そのものとは誤差があります)。

区分指数 / ファンド5 月単月年初来
日本(大型株)日経平均株価+11.88%+27.97%
日本(全体)TOPIX+6.17%+13.79%
日本(新興)グロース 250 連動 ETF+6.72%+21.23%
日本(不動産)J-REIT 連動 ETF-4.77%-10.82%

特徴を 3 点に絞ると次のとおりです。

  1. 日経平均の独走が継続:年初来で約 +28% という水準は通常の年間変動レンジを超えており、指数寄与の大きい半導体・AI 関連の値嵩株が押し上げの中心になったと報じられています。日経平均と TOPIX のかい離(年初来で約 28% 対 約 14%)は、上昇が一部のセクターに集中していることの裏返しでもあります。
  2. TOPIX も堅調だが温度差あり:全体を映す TOPIX は年初来 +約 14% と、日経平均ほどの過熱感はありません。半年弱で 1 割以上上昇しているのは十分強い水準ですが、銘柄ごとの明暗ははっきり分かれています。
  3. 不動産(REIT)は逆風が継続:後述する長期金利の上昇が、借入コストや物件評価を通じて分配金・価格を圧迫するとの懸念が背景です。株式と REIT が逆方向に動いている点は、資産クラスの分散が機能していることの確認材料でもあります。

海外の主要指数:G7 の年初来

主要先進国(G7)の代表的な株価指数を、年初来パフォーマンスで並べます(5 月末時点のおおよその水準。日本は TOPIX を併記)。

順位指数(国)年初来
1S&P 500(米国)+10.73%
2FTSE MIB(イタリア)+10.28%
3S&P/TSX(カナダ)+9.64%
4FTSE 100(英国)+4.60%
5DAX 40(独)+2.30%
6CAC 40(仏)-0.14%
参考TOPIX(日本)+13.79%

米国株は 5 月も強く、S&P 500・NY ダウ・ナスダック総合のいずれも最高値を更新したと報じられています。日本株と米国株に資産が寄りがちな国内の個人投資家にとっては、追い風が続いた 1 か月でした。

ただし、年初来で「米国一強」という単純な構図かというと、そうとも言い切れません。地域別のインデックスファンドを比べると、米国を除く先進国や新興国のほうが米国を上回る局面が続いています。

ファンド投資対象年初来
S&P 500米国大型株+10.73%
VEA米国除く先進国+14.89%
VWO新興国+11.38%

最高値を更新し続けながらも、米国が他地域に対して相対的に出遅れている状態は引き続き認識しておきたいポイントです。全世界株式インデックス 1 本で持っている場合は、この地域差は自動的に取り込まれているため、特別な対応は不要だと私は考えています。

ゴールドと債券 ETF:インカム重視の見立て

インカム(利息・分配金)を意識する層の代表的な選択肢として、ゴールドと米国の優良債券 ETF を並べます(利回りは執筆時点の概観値で、運用会社の公式ページ・運用報告書の最新値で必ず再確認してください)。

ティッカー種別年初来 価格分配金利回り目安
GLDゴールド ETF+4.73%
AGG米国総合債券(約 7 割が AA 格)-0.82%約 3.97%
LQD投資適格社債(約 9 割が BBB〜A 格)-0.75%約 4.54%
HYGハイイールド債(投資不適格、CCC〜BB 格中心)-0.40%約 5.85%

私の温度感としては、次のように整理しています。

「インカムだけで十分」と思えるならポートフォリオの一角として役割はありますが、「金利はまだ上がりそう(=債券価格は下がりそう)」「この利回りではインフレに負ける」と感じるなら、株式中心で組む判断もあり得ます。ここは正解が一つではなく、リスク許容度次第です。

米国高配当 ETF:利回りは過去平均より低下

キャピタル(値上がり)とインカム(分配金)の両取りを狙う米国高配当 ETF の年初来パフォーマンスは以下のとおりです。

ティッカー年初来 価格分配金利回り目安過去平均との比較
HDV+11.84%約 2.88%過去平均 約 3.5% より低い
VYM+10.92%約 2.22%過去平均 約 2.9% より低い
SPYD+9.87%約 4.17%過去平均 約 4.5% より低い

※価格パフォーマンスに分配金は含みません。

3 本とも S&P 500 と大きく変わらない成績で、価格が伸びた分だけ利回りベースの魅力は後退しています。先ほどの債券 ETF と比べても、現状の利回り水準はやや見劣りします。強い増配がすぐに期待できる環境でもないため、インカム特化で選ぶなら、米国一辺倒ではなく国内外の高配当株や債券との比較を経て決めたいところです。

国内のリアル景気:全体は回復、個別は二極化

株価が強い一方で、実体経済の指標は強弱が入り混じっています。複数の公的調査の概観は以下のとおりです。

指標公表元5 月時点の方向感
月例経済報告内閣府緩やかに回復、ただし中東情勢を注視(前月と同文言)
実質 GDP(2026 年 1〜3 月期 速報)内閣府年率換算 +2.1%
景気動向指数(一致指数)内閣府前月比 +0.2 ポイント、上向き
景気動向指数(先行指数)内閣府ここ 1 年弱で改善、上向きトレンド継続
景気ウォッチャー調査(現状判断 DI)内閣府約 40.8 と 50 を大きく下回り、消費者マインドは弱い
消費者物価指数(コア CPI)総務省前年同月比 +1.4%、3 か月連続で 2% を下回る
実質賃金(2026 年 3 月)厚生労働省(毎月勤労統計)前年同月比 +1.0%、3 か月連続プラス
完全失業率(4 月)総務省(労働力調査)2.5%
有効求人倍率(4 月)厚生労働省1.18 倍

ここで目を引くのは、GDP・景気動向指数・雇用といった「マクロの数字」は底堅い一方で、街角景気を映す景気ウォッチャー調査が 50 を大きく割り込み、生活実感が弱い点です。国全体の集計値と、家計が肌で感じる景気のあいだに温度差がある構図が見て取れます。

その背景として、私が押さえておきたいのは次の 3 点です。

  1. 物価の落ち着きは政策要因の面が大きい:コア CPI は +1.4% に鈍化したものの、これはガソリン補助や各種無償化といった政策が押し下げている側面が指摘されています。食料品はなお高い伸び(報道では +4% 台)が続いており、生活実感としては「まだ厳しい」という人が少なくありません。
  2. 実質賃金プラスは大企業の寄与が大きい:実質賃金は 3 か月連続でプラスですが、その伸びは大企業の賃上げに支えられている面があり、中小企業・小売・飲食・運輸などとの格差が指摘されています。
  3. 「持てる者」と「持たざる者」の差:株式・不動産を保有する層は資産増の恩恵を受けやすく、保有していない層は物価高の負担を受けやすい、という資産の有無による体感差も広がっています。

雇用環境は完全失業率 2.5%・有効求人倍率 1.18 倍と、主要先進国(失業率 4〜5% の国が多い)と比べても安定しています。マクロは悪くないものの、その実感は人によって大きく異なる、というのが 5 月の国内景気の整理です。

5 月の国内トピックス

日経平均が 6 万円台後半で最高値を更新

5 月 29 日、日経平均株価の終値が過去最高値を更新しました。報じられている押し上げ要因は、おおむね次の 3 つに整理できます。

一方で、3 月に約 13% 急落し、4 月・5 月で最高値を更新するという荒い値動きが続いている点も事実です。こうした急騰局面では SNS で派手な成功談が増えがちですが、私は「興奮を伴う取引」と距離を置き、リスク許容度の範囲で淡々と積み上げる姿勢を崩さないようにしています。値動きの熱量に飲まれた取引は、長期の資産形成とは別物だと考えているためです。

上場企業は 6 年連続の最高益見込み、ただし業種で明暗

報道によると、上場企業の純利益は直近年度で過去最高となり、2027 年 3 月期はそれを上回って 6 年連続の最高益となる見通しです。AI・半導体に加え、金利上昇と株高が追い風の銀行・証券、物件価格上昇が支える不動産などが全体を牽引しています。

ただし、上場企業の約 4 割は「減益見込み」または「業績予想を未定」としているとも報じられています。鉄鋼・電力・空運・海運・自動車など、燃料高や原材料高の影響を受けやすい業種では先行き不安が残ります。「全体は最高益でも、中身は二極化している」という点は、個別銘柄を見るうえで見落とせません。

海外トピックス:世界的な長期金利の上昇

5 月は、世界各国で長期金利(10 年物国債利回り)の上昇が話題になりました。報じられている 5 月半ば時点のおおよその水準は次のとおりです。

10 年物国債利回り(目安)特徴
日本約 2.7%約 29 年ぶりの高水準
英国約 5.1%約 18 年ぶり
ドイツ約 3.2%約 15 年ぶり
米国約 4.6%約 1 年ぶり

金利上昇の背景は、大きく 2 つに整理できます。一つはインフレ要因で、物価上昇に見合わない利回りでは国債が買われにくくなり、より高い金利が求められます。もう一つは財政要因で、政府債務が膨らむほど信用度が意識され、貸し手はより高い金利を求める、という金融の基本則が働きます。

長期金利の上昇は、預金金利・住宅ローン金利・企業業績まで生活に直結します。実際、長期固定の住宅ローン金利(フラット 35 など)が現行制度下で初めて 3% 台に乗ったことも話題になりました。住宅ローンの変動金利・固定金利の双方に関わる動きなので、私は今後も継続的にチェックする項目だと考えています。

なお、こうした金利上昇(=債券価格の下落圧力)については、別記事「世界的な金利上昇・債券安をどう読むか」でも整理しています。

中東情勢:楽観の裏にある不確実性

引き続き、中東情勢(米国・イスラエル対イラン)が市場の主要リスクとして残っています。原油価格の高止まりやニュースに反応した株価の乱高下は続いていますが、株式市場全体としては「大きくは崩れないだろう」という楽観が優勢で、それが各国の最高値更新を支えている面があります。

ただし、停戦をめぐる協議は続いているものの、具体的な結論が出ているわけではないと報じられています。「市場が大丈夫だと織り込んでいるだけで、実態としては成果が確定していない」という状態は認識しておくべきです。地政学リスクは突発的に動くため、何が起きても慌てない心構えだけは持っておきたいところです。

インデックス投資家のスタンス(私の場合)

NISA・iDeCo を中心に長期インデックス積立を続けている立場では、5 月の値動きは方針変更の理由にはなりませんでした。私が守っているのは、シンプルな 3 点です。

  1. 拠出額・拠出日・対象ファンドは事前に決めたとおりに継続する
  2. 最高値更新の局面では含み益の確認だけ行い、利益確定や戦略変更はしない
  3. 金利・為替・地政学のヘッドラインはニュースとして把握するが、売買トリガーにはしない

月次レビューは「過去のルールから逸脱していないか」を点検する作業であって、「次のアクションを決める会議」ではない、というのが私の使い分けです。半導体株への過熱感が出ている局面ほど、特定セクターへの集中を避け、広く分散した積立に戻ることを意識しています。

高配当株投資家のスタンス(私の場合)

アクティブ運用として日本株の高配当銘柄をボチボチ買っている立場では、5 月の相場はむしろ銘柄を探しやすい環境だと感じました。半導体株に資金とスポットライトが集中している分、配当を出す成熟企業が相対的に見過ごされやすくなっているためです。

ただし、これは「いま割安だから急いで買う」という話ではありません。私が優先しているのは、相場の熱量ではなく個別のファンダメンタルズです。

なお、本記事は特定銘柄の購入を推奨するものではありません。個別の高配当株を中立に分析した記事は高配当株カテゴリにまとめているので、銘柄ごとの数値や懸念点はそちらで確認したうえで、最終判断はご自身で行ってください。

来月以降に注視したい外部要因

最後に、6 月以降に影響しそうな要因を 3 つ整理します。これらは「予想して売買するため」ではなく、「想定外をなくすため」のチェックリストです。

  1. 長期金利の行方:日本・欧米ともに上昇トレンドが続けば、住宅ローン金利・債券価格・株式のバリュエーションに同時に影響します。住宅ローンの見直し時期に該当する家計は、月次の試算を続けたいところです。
  2. 中東情勢と原油価格:原油の高止まりは、輸入物価・コア CPI・実質賃金の三方向に波及します。協議の進展・後退いずれもニュースとして把握しておきます。
  3. 半導体・AI 相場の過熱感:上昇が一部セクターに集中している局面では、トレンド転換時の反動も大きくなりがちです。集中ではなく分散で構える前提を、改めて確認しておきたい論点です。

まとめ:値動きと方針は分けて考える

5 月は、4 月に続いて株価が一段と伸びた 1 か月でした。日経平均・S&P 500 の最高値更新や世界的な金利上昇といった派手なヘッドラインは目を引きますが、長期投資の方針は基本的に変えるものではない、というのが私の結論です。

ちなみに、米国の投資家心理を示す「Fear & Greed Index(恐怖・強欲指数)」は、執筆時点で「Greed(強欲)」を示しています。相場が強いときほど、自分のルールに立ち返ることを意識したいと感じた 5 月でした。

最終情報確認日と公式情報源

参考になる一次情報・公的情報源:

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よくある質問

日経平均が最高値を更新した今、追加で買うのは遅いですか?
「いま買うべきか」は短期の値動き予測になり、私を含め誰にも正確な答えは出せません。長期のインデックス積立を続けている場合、最高値更新は過去の入金分の含み益が増えただけで、これからの積立額のリターンは将来の市場次第です。一括投資を検討中なら、急騰直後ほどバリュエーションが妥当かを冷静に確認するタイミングだと感じています。
上昇の中心が半導体株だと聞きますが、半導体ETFや個別株に集中させた方が良いですか?
特定セクターへの集中は、上昇局面ではリターンを押し上げますが、トレンドが転換したときの下落も大きくなります。指数寄与の大きい銘柄に資金が偏ること自体は事実として認識しつつ、私はインデックスで広く分散する方針を変えていません。特定銘柄・特定セクターの集中購入を推奨するものではありません。
長期金利が上がっているなら、株より国債や債券ETFの方が安全で有利では?
金利上昇は新規に買う債券の利回りを高める一方、保有中の債券価格は下がりやすく、株式のバリュエーションにも逆風になりやすいとされます。インカム目的で4〜6%程度の利回りが狙える点は魅力ですが、信用度の低い債券ほど不景気に弱い点も含めて、自分のリスク許容度に合わせて株式と組み合わせる判断が自然だと考えています。
米国高配当ETF(HDV/VYM/SPYD)の利回りが過去平均より低いのは買い時ではないということですか?
価格が上がると利回りは下がるため、過去平均より低い利回りは「割安感が薄い」サインの一つです。ただし利回りだけで判断するのは危険で、増配率・セクター構成・指数の入れ替えルールも確認が必要です。インカム目的なら国内外の高配当株や債券ETFと比較・分散させる方針が現実的です。
中東情勢が不透明なので、いったん投資を止めて様子を見た方が良いですか?
地政学リスクが意識される局面は珍しくなく、それを理由に積立を止めると、結果的に「不安なときに買わない」行動になりがちです。長期のインデックス積立では、決めた拠出ルールを淡々と続ける方がブレが小さくなりやすいというのが私の結論です。余剰資金の範囲で、生活防衛資金を確保したうえで継続するのが基本だと考えています。